金継ぎやらないか?
全国200万の金継ぎファンの皆さん、こんにちは。 金継ぎ初心者の私がきましたよ。恐れ入ります。
もう一年前になるんだけど、Twitterで金継ぎの記録をつけていました。 それをやっとまとめつ、というのが今回の趣旨です。 post数がそれなりの量になっていたので、そのまま時系列で貼り付けていきます。 長いんですが、それは勘弁してください。
途中でも触れていますが、本当に金継ぎって人によってやりかたバラバラなんですよ。 ぼくも一年前は以下のようにやりましたが、今思えば改善点は沢山あります。 ぼくのやりかたも「金継ぎのひとつのやりかた」程度に思ってくださいね。 だいたいぼく初心者素人だし。
でも、金継ぎは本当に面白い作業で、 手を動かすのが好きな人、プラモが好きな人、漆を素手で触っても平気な人、 まあとにかくちょっときになったなら、皆んな試しにやってみるといいですよ。
では、はりきって参りましょー。
ハイ、金継ぎの準備ですよー。とりあえず生漆、朱合漆、透漆、砥の粉、真鍮粉ですね。 pic.twitter.com/tkLQjYSVjs
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月18日
生漆には米を混ぜて糊漆にしたり、砥の粉を混ぜて錆漆にしたりします。それぞれ接着剤、欠けを埋めるパテとして使うわけです。もう少し買っても良かったのかな。朱合漆は最後の蒔きの作業に。透漆はコーティング用。(真鍮粉だと錆びたりくすんだりすると思うので。食器に使うことも配慮)
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月18日
今思うと、朱合漆はいらなかった気もする。 たしか精製の度合いで名前が変わるんですが(曖昧ですみません) 朱などを混ぜて色漆にしない限り、生漆だけで足りると思います。
ちなみにジョイフル本田で材料を揃えましたが、ここまでで4200円ほどかかってます。漆だけは本格志向、あと細々したものは100均で対応します。金粉なんて0.4gで5000円とかだからな。だったらまた器買い直しに沖縄まで行くわ(今回は沖縄のやちむんをメインに修復します)
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月18日
金粉、今思えば買っといても良かったな〜と。 ほんと少しの量で蒔きはできますんでね。 何より、仕上がりがダンチです。
ちなみに金継ぎに関しては、どれだけネットを見ても本を読んでも、まったく同じ意見、これがスタンダードという方法がついに見つからなかったので、それぞれの知見を参考に、己で落とし所を見つけながら進めます。そもそも純金は使わないし(何度でも言う)
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月18日
【金継ぎ記録】やっと道具を一通り揃えたので急に始めました。まずダイヤモンドヤスリで軽く碗の縁を削り取ります。これは削った部分に漆が盛られて若干なりと接着効果を高めることになればいいなぁ、的な意味があります。意味有るのかな。 pic.twitter.com/nTbn36RugE
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月24日
【金継ぎ記録】炊いた米を練ります。よーく練ったのち生漆同量を混ぜてさらに練ります…がなんとなく分離してる?こんなもん?うーん。 pic.twitter.com/q8jvnDdr3N
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月24日
これはちょっと米の粒子が荒かったですね。 米粉を作ってそれを煮るか、もっと念入りに練る必要があります。
【金継ぎ記録】できあがった糊漆を断面に塗布して破片を組んでいきます。念の為、マステで仮留めしておきます。ちょっと強度に不安がある感じがします。まあ、失敗して覚える派なのでこれで良しとしましょう。 pic.twitter.com/7Jy4fAI2su
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月24日
これね、仮留めめちゃくちゃですね。はみ出てるし… あとで出てきますが、面でベタッとはるんじゃなく、 こう、縁から縁へ、渡すようにマステを貼るのがいいです。
ちなみに特に手を保護してないのは、漆かぶれがどんなもんか体験してみたいからです。
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月24日
まったく被れないんで、今の仕事を失ったら漆職人に弟子入りしようと思います。
【金継ぎ記録】組み終わったら、発泡スチロール箱に軽く霧吹きをして湿度を確保した上で茶碗を安置、蓋をして漆を硬化させます。かたくしぼった濡れ布巾とか敷いた方がよいかな。その辺は様子見で。 pic.twitter.com/9Fqz2C2w1H
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月24日
100均に温湿度計が売られたりしてるので、使いましょう。 温度管理は結構大事で、寒くなると全然乾かないし、 湿気が強いと表面だけすぐに乾いてシワシワになっちゃったりします。
これは上手く綺麗にできたね。 pic.twitter.com/gCxebGX9hb
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月24日
【金継ぎ記録】強力粉+水+漆をそれぞれ同量(ざっくり)混ぜて麦漆を作りました。大皿と鉢、小皿をこれで接着してみます。比較してみると、こっちの方が練りやすい。ゆえに伸びもよく塗りやすい。米の方はもう少しゆるめに炊いておけばよかったんだろうなぁ。 pic.twitter.com/lTYTIqlkmT
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月24日
これはこれでなかなかの接着力でした。 なんとなくですが、磁器は麦漆がいいんじゃないかな?
【金継ぎ記録】昼に塗った糊漆の茶碗。はみ出した部分が硬化してきたので、カッターと耐水ペーパー1000番で削り取りました。見た目はキレイ。あとはちゃんと接着されるか。とりあえず3週間ほど発泡スチロール箱のムロで放置します。 pic.twitter.com/8fOP0k4aGo
— ナイトウ (@neginaito) 2017年9月24日
【金継ぎ記録】前回の接着から一週間。大分硬化してきたので、はみ出した部分をデザインナイフで削り落としてみました。削った感じ、中の方はまだ柔らかく感じたので引き続きムロで硬化を待つことにします。 pic.twitter.com/48lw0a5gp6
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月1日
【金継ぎ記録】まあある程度硬化はしてるし、今日はこんな欠けを埋めることにします。木の粉を麦漆で溶いた刻苧(コクソ)漆か、砥の粉を漆で溶いた錆漆で埋めるんですが、大きな欠けなので刻苧漆を使います。 pic.twitter.com/8frhRnX24T
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月1日
【金継ぎ記録】木の粉は要するにおが屑ですね。いつも愛おしく思っていたおが屑、こういうことに使えるとは。手元にあった杉材をヤスリで削っておが屑を作ります。いつもは副産物であり廃棄物でしかないおが屑が、まさか主目的にする日が来るとは。 pic.twitter.com/sgTyPZTwyc
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月1日
【金継ぎ記録】麦漆でかなり固めに練ります。楽しい。ゆるめだと硬化しないらしいんで、麦漆は多めに作って様子を見ながらおが屑に混ぜて行きましたが、どう見ても麦漆が滅茶苦茶残りました(画像右奥)ありがとうございます pic.twitter.com/c3ucj8CiI8
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月1日
【金継ぎ記録】欠けに充填していきます。あるサイトでサランラップを使って成形するやり方を学びました。ありがとう。ここぞと妻が欠けた器をいくつも出してきました。練習台が多くて助かります。硬化までまた放置。 pic.twitter.com/caoD02v20Z
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月1日
面倒なので、この直後には直接手で成形してます。 みんなマネしないでね!
【金継ぎ記録】今日は砥の粉を溶いた「錆漆」で細かい隙き間を埋めようと思います。水:漆:砥の粉を1:1:3で混ぜますよ。砥の粉を立つくらいに水で練り、さらに漆がじわっとするくらいに混ぜました。水はもう少し少なくてもいいのかもなぁ。 pic.twitter.com/6ew5HWf7mE
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月7日
錆漆は目止めに使うようなイメージですね。 沖縄のやちむんみたいな、表面がざらついている陶器だと 表面の細かい凹凸に入り込んじゃうんで注意が必要です。
【金継ぎ記録】割り箸で作ったヘラで隙間に充填していきます。隙間の画像撮るの忘れてた。こんなもんでしょう。 pic.twitter.com/AhWPu0CobU
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月7日
【金継ぎ記録】それと、先だって盛り盛りした刻苧漆が大方硬化したので、デザインナイフで削ったり耐水ペーパーで磨いたりして整えました。こちらはいよいよ仕上げられるかな pic.twitter.com/xSpymxDuor
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月7日
【金継ぎ記録】久々の金継ぎ記録。いよいよ蒔絵に入ります。まず継ぎ目部分に朱合漆を塗ります。面相筆で慎重に。見た目で「薄いかな?」って程度でも問題なし。後で気付きましたが、うっかり指で擦っちゃったりしてると悲しくなります。(作業中の写真は撮り損ねた) pic.twitter.com/0SBOyzL1En
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月22日
【金継ぎ記録】蒔きます。真綿で真鍮粉(金粉はゲボ高い)を取り、ふはふはと漆部分を撫でると見事に吸着されていきます。これはね、めちゃくちゃ楽しいです。一日中やってられる。 pic.twitter.com/eX073v2uai
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月22日
「撫でる」と書きましたが、本当に撫でちゃダメです。 ほわほわ、と綿で乗せていくようなイメージです。 あまり横に動かしちゃうと、漆がビャッって擦ったようになっちゃいます。
【金継ぎ記録】iittalaの小鉢もいいかんじ。しかし沖縄のやちむんや、九谷焼には素晴らしく似合いますね。金粉だとさらに柔らかみが出るのでは。とりあえずこのまま数日乾燥させます。 pic.twitter.com/oFZmQYMGqJ
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月22日
ちなみに、蒔く前には30分ほどムロで乾燥させてます。適当にガラス板に漆を塗っておいて一緒に乾燥させ、その乾燥具合を確かめながらやるのが間違いない。
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月22日
一件落着。
【金継ぎ記録】新たに鉢が割れてたので糊漆作って接合してる。今回はご飯ではなく、よーく吸水させた米をハンドブレンダーで粉砕し鍋で煮て作った米糊を使用。粒も潰れるしダマにならず使用感はとてもよい。米一合でウチの器すべてを接合できるくらいの米糊ができた。 pic.twitter.com/H0CZCtbdiF
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月29日
【金継ぎ記録】先週、真鍮粉を蒔いた器に漆固めを施す。3割程度の油で薄めた漆を蒔きの上に塗布。ティッシュで押さえて拭き取り。曰く、これで粉がコーティングされて定着させることができる…とのこと。真鍮はいずれ酸化してしまうだろうから、こういう処置は必要かな。 pic.twitter.com/BDJzovG1xe
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月29日
真鍮はいうまでもなく緑青を生じる…のだけど、緑青の毒性は弱く1250〜1450mg/kgとのこと(半数致死量)。気にするほどの数値ではないです(60kgの大人で84g摂取)。遺伝障害も無し。むしろ変色が防げるかな、というのと、金属臭が抑えられたらいいな、ということでやってます。
— ナイトウ (@neginaito) 2017年10月29日
はい、ここ大事ですね。わざわざ調べたんだから、偉いでしょ? ロハスみたいなノリで金継ぎに取り組んでる人は、真鍮なんて信じられないみたいですが、 こういう風にちゃんとデータを見れば不安なことはありません。 ていうか、毎日使ってれば緑青なんて吹きません。
とはいえ、嫌な人に無理強いするつもりはないので、 気になるなら金を使うのがいいです。 ぼくだって予算にゆとりがあれば金を使いますからね。 だって綺麗だもん。
【金継ぎ記録】前回からすっかり放置してましたが、完成してました第一次金継ぎ。乾燥した頃を見計らって、メラミンスポンジで磨いて仕上げてみました。はみ出してる部分はまた耐水ペーパーで落とす感じかな。 pic.twitter.com/lbjp5QZFEQ
— ナイトウ (@neginaito) 2017年11月29日
メラミンでこすりすぎると簡単に真鍮粉はとれちゃいます
漆で隙間を埋める作業が甘かったようで、プラモ塗装でいうヒケが出来てしまった場所に細かい穴が空いてしまったことが残念。それともう少し細く金を蒔いたほうがよさそう。
— ナイトウ (@neginaito) 2017年11月29日
こういうことがあるので、漆は少しずつ塗り重ねるのがベターです。 塗っては削り、塗っては削り。 そういう手間が、直接仕上がりに影響します。
ぼくは実家が寺なんですが、仏具には漆がよく使われます。 とくに、払子。(白いヒゲみたいな、お坊さんが葬式で振り回してるやつ) これのいいやつは、柄の部分が漆で、芯材に2センチくらい漆を塗り重ね、 さらにそこに彫刻を施して仕上げます。
これが本当に美しいんですよ。 なるほど、漆を塗り重ねるというのは、 時間を積み重ねているんだなあ、と思いましたね。
と、まあいい話風に持って行こうと思いましたが、 そんな堅苦しく考える必要はどこにもないです。
金継ぎ、楽しいからやってみてね。